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| きざはし。左右は紫陽花。 |
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| 明月院の庭園。一般公開は6月初旬の2週間。 |
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| 瓶の井。今でも使用可能な貴重な井戸。 |
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| 明月院方丈の丸窓。庭園の緑が濃い。 |
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雨模様の日は緑が映える。木々も苔も石も、辺りのものは全て水を含んでしっとりと落ち着き、鶯の谷渡りが至る所で聞こえる。総門から山門へと続く石段は何百年もの間、参詣する人の足に踏まれ、すり減ってやわらかな形になっており、石段と言うより「きざはし」という古い言葉の響きが似合う。山門の辺りに漂う良い香りは、山際に一本だけある朴の木から流れて来るらしい。鎌倉で朴の木はあまり見ないが、山際の暗い緑を背景に白く大きな花が浮き上がる様に咲いているのは幻想的だった。方丈に上がると大きな丸窓から谷戸の庭園が眺められる。お茶をいただいていると運良く雲が切れて谷戸に日が射した。一休みした後「やぐら」と「鎌倉十井」のひとつ「瓶の井」に回ってみた。
鎌倉で「やぐら」と言えば、崖に穿たれた穴を墓所にしたものの事を言う。上杉憲方の墓だと伝えられる明月院のやぐらは大きく、風化しているがうっすらと浮き彫りされた人の形が見られる。やぐらと切り通しは鎌倉独特のものだが、血腥い歴史の所為か結構不気味で、夕暮れの名越切り通しなどは避けたい場所だ。ちなみに「谷」を「やつ」と呼ぶのも鎌倉独特のもので「扇ガ谷」は「おうぎがやつ」と読む。
鎌倉は湧き水が多く、山ノ内から扇ガ谷に抜ける亀ケ谷切り通しは滲み出した水が滝の様に滴っている。鎌倉の湧き水は恵みであるが、反面湿気と寒さを呼ぶ。北鎌倉や扇ガ谷の暗さは大量にじくじくと滲み出して滴る水の所為でもあるようだ。実際、鎌倉十井のうち六つはこの辺りに点在しているが、今でも飲用可能な水はごく少なく、山の裏の巨大団地や宅地造成によって汚染されたり切られてしまった水脈が多い。鎌倉の山が乾いてしまったのは何ともやるせない。
明月院を後にする前に総門脇の参拝者用トイレに関して一言。残念ながら特に女性用トイレ使用者のマナーが悪すぎてお寺さんを嘆かせているらしい。「立つ鳥後を濁さず」と言いますぞ。観光に来る程元気で身体の動きに支障無いなら、落とした紙を拾って捨て、はね散らかした水を拭き取ってから出て行く程度の労力と気は使ってしかるべきだろう。便利に使わせてもらうのなら最低限のマナーは守って欲しいものだ。
鎌倉十井は「瓶の井(明月院)」「甘露の井(浄智寺)」「底脱の井(海蔵寺)」「扇の井(扇ガ谷)」「泉の井(扇ガ谷)」「鉄(くろがね)の井(鶴ケ岡)」「棟立の井(覚園寺)」が北の山側に、「星の井(極楽寺)」「銚子の井(名越)」「六角の井(小坪)」の三つが南の海側にある。他にも「十六井」や「銭洗水」など「鎌倉五名水」と呼ばれる湧き水がある。
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