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ファーマーズ・マーケットは基本的に旬の野菜、その季節にしか穫れない野菜や果物を置いているけれど、その中でも2週間行かなかったらお目にかかれないのがズッキーニの花。10センチほどの小さズッキーニに、しぼんではいても新鮮な花がついているものを選ぶ。花がやぶれたり、中が蟻の餌食になっていないか調べて買う。この花にひき肉と刻んだタマネギを詰めて天ぷらの様なフリッターにすると目先が変わっていて美味しい。
アルマニー・ストリートのファーマーズ・マーケットにはアジアの野菜が多い。アジア人の人口が多いせいで需要と供給がちゃんとバランス良く成り立っている。ここに来れば見慣れた野菜、懐かしい野菜もちゃんと手に入る。珍しい野菜や高価なグルメ食材も良いけれど、白瓜やししとう、春菊や枝豆に出会うとつい手が伸びる。ハーブの店にタイベイジルやレモングラス、コブミカンの葉があるだけでも嬉しいのに、束の青紫蘇まで売っているし、京菜やサトイモの子芋もある。
ジャパンタウンの大きなスーパーでは時々梅酒用の青梅が出たり、松茸が並んだりするけれど基本的に高い上、野菜が工場生産品みたいに小さくパックされていて魅力が無い。日本への郷愁とアクセスの良さを取るか、季節のエクサイトメントを取るかと聞かれたらファーマーズ・マーケットで季節と出会うエクサイトメントを取る方がいい。スーパーで年中売っているキャベツやアスパラガス、ブロッコリなどもここでは季節もの。美味しいキャベツ、特に葉が縮緬になったサヴォイ・キャベツは春先だけだし、アスパラガスは4月までしか売っていないし、ブロッコリは冬にならないと出回らない。絹さや、スナップエンドウ、空豆は初夏の頃に大量に売られ、その後は姿を消す。皆心得ていて、ここでは常連のお客と売り手の間の「そろそろ空豆だね」「察しがいいね、来週入るよ」などの農業カレンダー的会話が普通になり立っている。
果物も1年サイクルで見ると面白い。春先には大きなポメロとネーブルオレンジなどの柑橘系、暖かくなるとイチゴやラズベリー、初夏はサクランボ、桃、プラム、ネクタリンが出て来る。盛夏はメロンやスイカ、ブドウ。秋は梨や色の濃いブドウ、柿、リンゴ、栗、サツマみかんが出始めたらもう冬。次の年も同じサイクルで出回る。季節に沿った本来の果物の姿が見えて来て、農業国アメリカの季節のイベントと作物の関係に納得する。
例えば、毎年7月4日の前の土曜日に野菜を商う店は皮つきトウモロコシに占領される。当日は家族や友達が集まって午後は庭でバーベキュー。皮ごと塩水に浸けておいたトウモロコシをそのままバーベキューグリルの上で焼く。焼けたら「あち、あちち‥」と言いつつ皮をむいてバターを落として食べる。ジャガイモは美味しい大きなジャガイモがどこのスーパーでも買えるからわざわざファーマーズでは買わないけれど、オレンジは15キロの大袋で買っていく。サンクスギビングの前はレーズンやクランベリー、殻付きの胡桃やアーモンド、りんご、タマネギ、かぼちゃ等の冬に備えた滋味のあるものを売っているから、ターキーに詰めて焼いたりパイにしたりする。ちなみにターキーに普通の詰め物でなく、果物を入れると美味しく焼けるそうだ。
買った野菜やハーブを車に一旦入れて次のラウンドへ。次のラウンドは生鮮食料品以外のもの。ここ数年でかなり色々な種類の店が出るようになった。
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