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第二回 ストーニイ・ヒルの『ゲベ』ー和食に合うワイン2(謙ちゃんのワイン談義)

「この前は赤だったから今度は白の『ゲベ』で行こう」という春海坊の要望(要は単に飲みたかっただけか?)に応えて今回はストーニイ・ヒルのゲヴュルツトラミナーです。春海坊の魂胆はさておいても、このワインはどのみち紹介するつもりだった。ドイツ語っぽい名前の発音は「ぎゅるつトラーミナー」と聞こえるけれど、個人的には舌噛みそうな発音は面倒だから『ゲベ』と呼んでる(ちなみにカベルネ・ソーヴィニヨンは『カボ』です)このワインに巡り会ったのは十年程前、友人のブルース・カイザーに勧められて買った時です。


ブルースはボーンハム・バタフィールド・オークションハウスのワイン部長で、ワイン・スペクテイター誌にも書いていたから、彼が「これはお買い得」と言うなら信じてヨシ。「ぎゅるつトラーミナーとしては変っているけれど、ちょうど飲み頃だし絶対気に入る」の言葉でえーいままよと2ケース買いこんだ。当時はまだ安かったからネ。彼が言うには「スパイシー。飲んでみれば判るけど個性的で美味い。ちょっと冷やすといいね」だそうで、 何ぞ曰くありげじゃな。ブルースがわざわざ「冷やせ」と言うのも珍しい。


サンフランシスコは寒い所で、一年中日本の秋半ばの様な気候で気温の上下が殆どありません。おまけに霧が来るから夏でも夜は外気温が12℃位に下がる。その頃住んでいた家は、台所の窓を開けるとタタミ一畳分くらいの平らな屋根になっていて、霧の渦巻く窓の外にワインのボトルを1時間も置いておけば実に具合よく冷えた。すんなり細い緑色のゲベのボトルを窓の外の「天然ワインクーラー」に置いておき、ちょうど良く冷えたところで、キコキコとコルクを抜いて、まず一口。蜂蜜の香りがする・・・いやマスカットかな?きりっと冷えて爽やかな味。発泡酒ではないのに炭酸みたいにぴりっとした味と「スパイシー」と形容される芳香。 夕食作りながらまず茶碗蒸しで飲み始めて目が点になり、茶碗蒸し独占を企んだらお玉で手の甲引っぱたかれた。この日は続いて鮭の焼いたのと薄味でダシを効かせた野菜の煮物で、これにも合うけど卵料理、特に茶碗蒸しとの相性の良さは抜群。ブルースは「スシやサシミに合う」と言っていたけれど、卵料理や野菜の炊いたのにも合ってるなんて、和食に寄り添う素直なワインじゃの、おぬし。
ところで、こんなに爽やかで一見素直な白なのに、他のワインと合わせようなどと考えるとえらい目に遭う。あくまで我侭、頑固に個性を言い立て、自分を主張するから最初にこいつを飲んだら2本目に良い赤を持って来てもダメ。赤であろうが白であろうが、次に飲むワインの味を感じられなくしてしまうから勿体ないことおびただしい。一旦付き合ったらよそ見しちゃいけません、ストーニイ・ヒルのゲベを飲む時は最後まで純情一筋にこれで通すべし。

 

ストーニイ・ヒルのゲヴュルツトラミナー。カリフォルニアのゲヴュルツトラミナーは軽い甘さがポピュラーですがストーニイ・ヒルのはきりっとスパイシーで強い。「フルーティーな甘さでほんのりスパイシーな」イメージを描いて飲むとえらく面食らう。

ストーニイ・ヒル・ヴィンヤーズは1950年代にナパで創業、スプリング・マウンテンの頂上にある、シャドネで有名な「白ワイン一筋」のワイナリーです。「ゲベ」はごく少量しか作っていないので、普通は一人6本、豊作の年でも一人12本買うのがが限度。ワイナリーの一般公開はしていません。


ワイン・メモ
ゲヴュルツトラミナーはもともとフランスのアルザス地方のワイン。アルザスはフランスでもドイツやスイスに近い地域です。アルザスのゲヴュルツトラミナーはフルーティーでしかもスパイシーな芳香、蜂蜜の様な香りが特徴。この葡萄はリースリングやピノ・グリと同様気温が低めの所が好みで、カリフォルニアでもナパやソノマの山の上の方で作られています。

左の写真のワインは1995年のアルザス、ウンブレヒトのゲヴュルツトラミナー。参考のためにとにかく一度飲んでみました。爽やかでキレの良い味のストーニイ・ヒルと比べると、マイルドですが蜂蜜や杏の香りとトースティーな深い味わいのある、風格のあるワインでした。いかにも豚肉とザウアークラウトの料理に合いそうな感じ。邪道ですが、これでワイン・シャーベット作ると最高。


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